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Molecular Beacons

Molecular Beaconsとは?

基本構造Molecular Beaconsは、5'末端に蛍光色素、3'末端にクエンチャーを持ち、ステム‐ループ構造を有する一本鎖オリゴヌクレオチドプローブです(図1)。今回、ニッポンイージーティーが発売するMolecular Beaconsは、蛍光物質(5'末端)としてFAM、クエンチャー(3'末端)としてDABCYLを用いております。DABCYLは吸収したエネルギーを熱として放出し、蛍光を発しないのでダーククエンチャーと呼ばれています。ループ構造内にはターゲットに相補的な配列が含まれています。ループ構造の両端には、ターゲット配列とは無関係の配列(4-7塩基)があり、それらの配列はお互いに相補的であるため、ステム構造を形成します。

ハイブリッド形成ステム構造が形成された状態(ハイブリダイズしていない状態)では、蛍光色素とクエンチャーが近接しており、蛍光色素によって放出されるエネルギーはクエンチャーによって高効率的に吸収されるため、Molecular Beaconsは蛍光を発しません(この現象は、collisional quenching(衝突消光)、またはproximal quenchingと呼ばれます)。一方、ターゲットの配列が存在するときには、Molecular Beaconsのステム構造が開裂し、ループ領域がターゲットとハイブリダイズします。このとき、蛍光色素がクエンチャーから離れ、蛍光色素によって放出されるエネルギーはクエンチャーによって吸収されないため、Molecular Beaconsは蛍光を発するようになります(図2)。

FRET quenching とCollisional quenchingとの違い

 FRET(蛍光共鳴エネルギー移動) quenchingの基本原理はFörster機構(双極子−双極子機構)です。励起状態の蛍光色素のエネルギーが電子の共鳴によって基底状態のクエンチャーに移動し、励起状態になったクエンチャーは熱または蛍光を放出して基底状態に戻ります。よって、クエンチャーに移動したエネルギー分だけ消光されます。Förster機構では分子どうしの接触は必要なく、有効距離は1-10 nmとなっています。また、励起状態の蛍光色素の蛍光スペクトルと基底状態のクエンチャーの吸収スペクトルとの重なりが大きいほど、蛍光色素とクエンチャーとの距離が近いほどエネルギーの移動効率は高くなります。Double-Dye Probeは、FRETによる消光を利用したプローブです。

 Collisional quenchingの基本原理はDexter機構(電子交換機構)です。励起状態の蛍光色素と基底状態のクエンチャーが電子軌道の重なりを生じる接触有効距離(0.3-1 nm)に近接した場合に、電子をお互いに交換し合うことによってエネルギーが移動します。その結果、蛍光色素は基底状態に戻り、クエンチャーは励起状態となり、熱または蛍光を放出して基底状態に戻ります。このエネルギー移動は蛍光/放出スペクトルの重なりや距離に依存しないので、エネルギー移動効率が非常に高く、結果としてステム‐ループ構造のMolecular Beaconsは非常に高い消光効率を示します。

 Molecular BeaconsをリアルタイムPCRで用いる場合は、ターゲット配列を増幅するプライマーペアの間にハイブリダイズするようにMolecular Beaconsを設計します。3ステップPCRサイクルのアニーリングステップにおいて、Molecular Beaconsはターゲット配列にハイブリダイズし(図3.下段左)、蛍光を発します。DNA鎖伸長ステップへの温度上昇中に、Molecular Beaconsはステム-ループ構造を形成し、ターゲット配列から遊離し、蛍光を発しなくなります(図3.下段右)。Molecular BeaconsはDouble-Dye Probeと異なり、Taq DNA polymeraseの5'→3'exonuclease活性による分解を受けません。毎アニーリングステップで、Molecular Beaconsはターゲット配列にハイブリダイズして蛍光を発するので、アニーリングステップで検出される蛍光シグナル量はサイクル数が増えるたびに増大します。蛍光シグナルの量はターゲット配列の量に比例するため、リアルタイムでターゲット配列を定量することが可能です。

3ステップPCRサイクル

Molecular Beaconsの特徴

優れた検出特異性
Molecular Beacons-ターゲット配列のハイブリッドは、安定性という点でMolecular Beaconsのステム構造と競合します。Molecular Beacons-ターゲット配列のハイブリッド中にミスマッチがあり、ハイブリッドの安定性がステム構造に比べて低い場合、Molecular Beaconsはハイブリッドではなく、ステム-ループ構造を形成することになります。ハイブリッドとステム構造の安定性(Tm値)を調整してデザインすることによって、Molecular Beaconsは1塩基のミスマッチを認識することが可能であり、1塩基多型(SNP)の検出に適しています。また、Collisional quenchingによって、蛍光シグナルのバックグラウンドを低く抑えることができ、S/N比が高くなります。
高い汎用性
Molecular Beaconsは、ターゲット配列にハイブリダイズした時に蛍光を発します。Molecular Beaconsによって発せられる蛍光は、Taq DNA polymeraseによる分解に依存していないため、PCR法で増幅されるDNAだけではなく、等温度増幅法によって増幅されるDNA及びRNAの定量やリアルタイム検出にもご利用いただけます。検出機器として、一般的なリアルタイムPCRシステムだけでなく、温度制御機能を備えた分光蛍光プレートリーダーを用いることが可能です。さらに、生細胞内において、遺伝子発現の検出などにも応用されています。
Multiplex
異なる蛍光色素で標識された複数のMolecular Beaconsを用いることによって、1つのチューブ内で複数のターゲット配列を検出することが可能であり、遺伝子型決定などに利用できます。 Molecular Beaconsはcollisional quenchingによって消光されるので、蛍光色素とダーククエンチャー間の蛍光/吸収スペクトルの組み合わせを考慮する必要がありません。よって、検出機器のチャネルに合わせた複数の蛍光色素の選択が容易になります。
関連リンク
Molecular Beaconsについて詳しくお知りになりたい方は、Public Health Research Instituteのホームページ(http://www.molecular-beacons.org/default.htm)をご参考になさってください。
参考文献
Tyagi S and Kramer FR (1996) Molecular beacons: probes that fluoresce upon hybridization. Nat Biotechnol 14, 303-308.
Matsuo T (1998) In situ visualization of messenger RNA for basic fibroblast growth factor in living cells. Biochim Biophys Acta 1379, 178-184.
Tyagi S, Bratu DP, and Kramer FR (1998) Multicolor molecular beacons for allele discrimination. Nat Biotechnol 16, 49-53.
Marras SAE, Kramer FR, and Tyagi S (2002) Efficiencies of fluorescence resonance energy transfer and contact-mediated quenching in oligonucleotide probes. Nucleic Acids Res 30, e122.
Marras SAE, Kramer FR, and Tyagi S (2003) Genotyping SNPs with molecular beacons. Methods Mol Biol 212, 111-128.
Wang L, Blasic JR, Jr., Holden MJ, and Pires R (2005) Sensitivity comparison of real-time PCR probe designs on a model DNA plasmid. Anal Biochem 344, 257-265.

Molecular Beacons合成サービス

(1)製品仕様

ニッポンイージーティーではMolecular Beaconsの合成を承っております。蛍光物質(5'末端)としてFAM、クエンチャー(3'末端)としてDABCYLを用いております。全ての製品について、RP-HPLC精製を2回行い、品質管理として MALDI-TOF MS 、分析用 HPLC にて鎖長、蛍光色素のカップリングを確認いたします。製品には分析用 HPLCチャートを添付いたします。

合成鎖長 修飾 合成スケール 精製 保証収量 納品形態 納期 *注1 納入希望価格*注2
25 - 45mer FAM / DABCYL 0.2 μmol RP-HPLC精製2回 1.25 O.D. 乾燥品 10 営業日 38,000円

*注1:納期は受注日を 0 とした場合の発送日になります。
*注2:希望納入価格には、消費税は含まれておりません。

(2)Molecular Beacons設計について

Molecular Beaconsおよびプライマーペアの設計も承りますので、info@n-egt.comまでお気軽にお問い合わせください。
Molecular Beaconsの設計に関しては、市販のオリゴヌクレオチド設計ソフトウェアをご使用いただくか、Public Health Research Instituteのホームページ(http://www.molecular-beacons.org/default.htm)をご参考になさってください。

(3)Eurogentec社のMolecular Beacons合成サービス

弊社「Molecular Beacons合成サービス」に記載されていない修飾に関しては、Eurogentec社(ベルギー)の多彩な修飾サービスをご利用ください。また、Eurogentec社では、Wavelength-Shifting Molecular Beacons、2’O-Methyl RNA Molecular Beaconsの合成も行っております。

3’DABCYL Molecular Beacons
Wavelength-Shifting Molecular Beacons (3’DABCYL)
2’O-Methyl RNA Molecular Beacons
(4)注文方法

 こちらのエクセルファイルをダウンロードし、必要事項をご記入ください。
 ご記入いただいたエクセルファイル、またはEurogentec社のMolecular Beaconについては次のメールアドレスinfo@n-egt.comまでお気軽にご照会ください

(5)発送について

 発送は室温で行います。室温で1週間は安定ですが、お手元に届き次第、凍結保存して下さい。Molecular Beaconsの蛍光色素は光によって劣化する恐れがありますので、遮光して保管してください。

(6)License statements

 ニッポンイージーティーおよびEurogentec社のMolecular Beaconsは、Public Health Research Instituteより研究目的での利用に関する特許ライセンスを受けて製造しております。

The use of Custom Molecular Beacon Probes employs the following patent rights licensed to Eurogentec S.A. from The Public Health Research Institute of the City of New York: (a) the claims of U.S. Patent Application Serial No. 08/439,819; (b) the claims of U.S. Patent Application Serial No. 08/990,176; and (c) all patent application claims and all patent claims, U.S. and foreign, that cover improvements in the foregoing claimed probes, kits and assays and whose subjects are inventions and discoveries that are made by the Public Health Research Institute of New York. The use of Custom Molecular Beacon Probes is limited to the field of use comprising the internal use by an end user of a product solely in assays of the end user (or in applications of the end user’s customer, if the end user is performing contract research) in scientific research and development.